カメラを触ってたら光が集まるから寂しくないブログ

カメラ趣味。写真もカメラも好き。

書籍『偉大な風景カメラマンが教える写真の撮り方』について

 

Lake, Tree, Run

世の中には多くの人々から高く評価される写真というものがありますよね。もちろん、芸術なんて別にみんなと同じものが好きじゃなくていいに決まってるんですが、いざ、そういう「素晴らしい(らしい)写真」とかを見てみると、やっぱりいいんだよなぁ。うわぁ、やっぱりすごいじゃん、ってなってしまう。ベタな自分にちょっと悔しいんだけど。

そんな時、写真はおろかデザイン、色彩なんてものをまったくもって学んだことがない私は、「いいじゃん」どまりで、何がしっくりきているのか、何がこんなに心を動かしてくれてるのか実はよくわかってない。もっと言うと、表現としての写真というものが一体何なのか、まともに考えたことがない。自分の仕事や日常とアートはかけ離れすぎて、考えるフレームすらも自分の中に持ち合わせていない私。そんな私が、街の本屋さんで見つけた素晴らしい本がこちら

偉大な風景カメラマンが教える写真の撮り方

偉大な風景カメラマンが教える写真の撮り方

 

 「風景カメラマンが」というタイトルで自然風景の撮り方解説が思い浮かびますが、この本が対象にしているのはストリートフォトや近所の空地も含めた広い意味での風景です。むしろ自然風景は少なめかも。比較的最近撮られた(おそらく)有名写真家の写真1枚1枚に対し、著者が丁寧な解説を加えていきます。「何が、この写真を素晴らしくしているのか?」

ほんの120ページほどの薄い本なのですが、この解説がよくできていて、どうも、私がなぜこの写真に心動かされたのか、を違和感なく文字化してくれているように思うんですよね。え?感動を形式化するなんて邪道?感じるままがすべて?ふふっ。私は天才じゃないのでね。できることなら感動を形式知化して趣味としての写真を上手になりたいんだな。自分も同じ写真が撮れるようになりたい!

うまくこの気持ちよさが書けないので一説を引用してみます。

この写真のなかのラインが、フレームに対して完全な垂直や水平ではなかったらどうなるかを想像してみてください。左下の小さな緑色の部分がなかったらどうでしょう?これよりもっと広い部分が見えていたらどうでしょう?すべてのバランスが崩れてしまう、そう思いませんか?

とかね。こういう感じ。はっきりとわかりやすい。上記アマゾンのページでも何ページかサンプルを読むことができるのでぜひ見てみてください。

こういうガイド本って、古典的な名作(決定的瞬間!)を引用して解説するようなことが多いイメージですが、この本は1990年代~2000年代の写真が多いのもうれしい。古い写真も意味が褪せることは無いんだけど、ガイドブックとしては「今はもうその雰囲気の写真取れないじゃん」というのも言い訳になったりしてね。やっぱり、今を生きてるフォトグラファーの生き生きした写真で、凄さを解説してくれると、ひれ伏すしかないよね。そして、私も同じひらめきがあったなら同じ写真が撮れるかもしれないんだ、というモチベーションにもつながったりします。

章立ては、構図、露出といった基本から、光、操作(演出や加工)といった表現の深みの話に移り、最後にロケーション、という章で、なぜ、あなたはそこで写真を撮るのかという本質的な部分に少し触れてこの本は終わります。

時間を見つけては、カメラを提げてぶらぶらしている私ですが、時々はこういう本で刺激を受けて、表現の幅が広がったらいいな、なんて思います。

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